長年、アルコールの液浸標本となっていたヒミズがあったので、骨格標本の作成に挑んでみました。ヒミズのような小型哺乳類の骨格標本は初挑戦です。
ハサミとメスで皮を剥ぎ、内臓と筋肉をそぎ落としていきます。前肢まわりの筋肉量はすごいものです。人間だとどんなマッチョでもあんなには筋肉は付かないだろうと思います。骨の太さを考えると、北斗の拳のラオウよりも筋肉がありそうです。
そんな筋肉を少しずつそぎ落としていきましたが、ハサミとメスでは限界を迎えてしまいました。骨が細いわりに筋が丈夫なので、実体顕微鏡下で作業を進めても骨を折ってしまいそうです。
ある程度そぎ落としたところで、入れ歯洗浄剤に1昼夜つけ込んで柔らかくしたところで、さらに肉を削りました。入れ歯洗浄剤はタンパク質分解酵素が含まれているので、筋肉をある程度溶かしてくれます。さらに消臭効果もあって、後の作業がいろいろと楽になります。
写真は入れ歯洗浄剤の処理をした後です。しかし、これ以上やると頭骨が危険です。
これ以上手作業を続けると、骨格を壊してしまいそうなので、助っ人に登場してもらいました。時々、自宅に出現するカツオブシムシを吸虫管で採集し、後の作業は彼らにやってもらおうという魂胆です。
しかし、まだ数が少ないし、採集したのは成虫なのでたいして肉を食ってくれません。ケース内で繁殖して幼虫が出てきてくれないと作業が進みません。ヒミズの骨格標本が完成するには、かなりの長期戦となりそうです。
筋肉の切除中に、頭部からヒミズの舌が取れました。先がとがっており、舌の下面はつるつるですが、上面はのどの方向へ向かって剛毛がびっしりと生えていました。人間やウシの舌とはずいぶん違います。この剛毛は、食べ物を飲み込むのに役に立つのでしょうか。
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